エアコンに換気機能がない場合の正しい換気のやり方を紹介します

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みなさんの自宅のエアコンには換気機能がついていますか?実は換気機能付きのエアコンが発売・注目を浴び始めたのはここ最近のこと。新型コロナウイルスによって部屋の換気の重要性が認知され、エアコンメーカーがそのニーズに応えました。

ところが2022年末現在、換気機能が付いているエアコンはダイキンやパナソニックなどの一部のメーカーに限られており、賃貸マンションなどの部屋の設備として最初からエアコンが備わっている場合には換気機能がついていないエアコンであることの方が多いようです。

そこでこの記事ではエアコンに換気機能が備わっていない場合に、どの様な手順で空気を入れ替えれば良いかを解説するとともに、なぜ換気が必要なのかについて詳しく解説していきます。

【記事作成】おうちにプロ 編集部
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なぜ部屋の空気を入れ替える必要があるのか?

そもそも、なぜ換気が必要なのか考えてみましょう。普段の生活において、全く換気をせずに1日中部屋の中で生活をする、ということもあるかと思いますが、換気にはたくさんのメリットが考えられます。

【理由①】二酸化炭素の濃度が高い空間では人体に悪影響が出てしまう

人間は酸素を体に取り入れ、二酸化炭素を排出して生きています。そのため、全く換気をしない部屋では知らないうちに二酸化炭素の濃度が上昇してしまいます。

大気汚染などでよく目にする濃度を表す単位として「ppm」(読み方はピーピーエム、またはパーツ・パー・ミリオン)というものがありますが、厚生労働省では部屋の二酸化炭素濃度は1000ppm以下に抑えることを推奨しています。

概ねの目安として、換気がされていない満員電車の二酸化炭素濃度は1000ppm〜1500ppmの間と考えれますので、オフィスなど人がたくさん集まる場所で換気をせずにずっと仕事をしていると、1000ppmを超えてしまうことは十分有りえます。

一般的な家庭においては、部屋の大きさや人数、出入りの頻度によって考え方が変わってくると思いますが、それでもこまめに換気をすることは重要です。

では1000ppmを超えてしまうと実際にどの様な影響が人体には表れるのでしょうか。

厚生労働省の資料によれば10000ppmを超えると呼吸数が増加し、血圧の上昇や心拍数の上昇が表れます。そして50000ppmを超えるとめまいや頭痛、呼吸困難といったはっきりと自覚症状の表れる状態になります。さらに100000ppmに達すると激しい呼吸困難、嘔吐、意識消失などの重大な悪影響を与えてしまいます。

このことから、二酸化炭素を外に出して空気を入れ替えることは、健康に生きていく上ではとても重要な作業と考えられます。

※1ppmは100万分の1を表します。1%は100分の1なので、1ppmは0.0001%、または1%は10000ppmと読み替えられます。

【理由②】換気はウイルスの感染対策やカビの発生予防につながる

近年換気が身近なものになった大きな理由としてはウイルスの感染対策があげられます。

新型コロナの感染経路として「エアロゾル感染」というものがあります。これは、新型コロナに感染した人が発したウイルスを含んだ飛沫から、マイクロミリメートルというとても小さな単位の粒子が空気中を漂い続け、その粒子を他の人が吸い込んでしまうことで感染するケースを示します。

このエアロゾル感染では、空気中を漂って感染するため、2メートル以上の人と人との距離を保っていても感染が広がってしまいます。そのため、定期的な空気の入れ替えは感染予防の観点において、とても大切です。

また、換気はカビの発生予防においても役に立ちます。カビは菌という生き物であり、発生すると菌糸と呼ばれる根っこを伸ばして成長していきます。そして目には見えない胞子を出して、水分などの栄養素を取り込んで新しいカビを発生させていきます。

まるでたんぽぽが綿毛を飛ばすように繁殖していくカビですが、換気をすることで胞子を外に出すことができるため、室内のカビの発生の予防に繋がるのです。そして換気は胞子を外に出すだけではなく、部屋の湿度を下げることもできるため、カビが繁殖しやすい環境さえも防ぐことができます。

【理由③】換気をすることで部屋のニオイもリフレッシュ

生活していると様々なニオイが出てきますが、換気をすることでニオイも外に出すことができ、気分をリフレッシュすることができると言えます。特に室内でタバコを吸う場合や料理や食事をした後、またペットを飼育している場合もペットのトイレのニオイが溜まってしまうため、頻繁に換気をすると良いでしょう。

正しい知識で効率よく部屋の空気を入れ替えよう

ここまで、換気は健康状態の改善から、ウイルス感染の予防、カビの予防、そしてニオイのリフレッシュに役に立つことをお伝えしてきました。ここからは実際にどの様な手順で換気を行えば良いのか解説していきます。

エアコンに換気機能が搭載されているかチェック

まずは、エアコンに換気機能が搭載されているのか調べてみましょう。現在換気機能が搭載されている主なエアコンは以下の通りです。

ダイキン:うるさらX

ダイキン工業製の「うるさらX」には給気換気機能というものがあります。これは2020年4月時点の壁掛形家庭用エアコンにおいては、冷暖房運転を行いながら換気ができる唯一のエアコンでした。換気はもちろん、湿度調整もできるエアコンとしてシェアを伸ばしました。

うるさらXの換気の使用方法はとても簡単で、暖房または冷房運転中でも「換気」のボタンを押すだけで冷暖房の運転を続けながら換気を行うことができます。

パナソニック:エオリア LXシリーズ

パナソニック製の「エアリア」は2021年9月に冷房・暖房・除湿に加えて「加湿」と「換気」機能を搭載した「LXシリーズ」を発表しました。

ご覧の通り、国内で販売されているメーカーでは現在換気機能を備えているエアコンは多くはありません。これは、換気のための吸気用に太い配管が必要となるため、設置工事に手間がかかりコストが上昇してしまうためと考えられています。ですがここ最近のダイキンのシェア拡大は新型コロナウイルスによって健康への考え方がコストよりも優先される様になってきたからではないでしょうか。2022年12月にはシャープから二酸化炭素センサーを搭載したエアコンが発表となるなど、今後もエアコンの換気機能の重要性はますます高まっていくものと考えられそうです。

エアコンに換気機能がない場合の換気の仕方

エアコンに換気機能がない場合は窓を開けて換気を行いましょう。最もかんたんに効率よく換気をする方法は「空気の通り道」を作ることです。ただ窓を開けて換気するのではなく、対角線に窓を開けて空気の通り道を作ることで長時間窓を開けておく必要もなくなるので、しっかりポイントを抑えておきましょう。

2箇所以上の窓を開けて空気の通り道を作ろう

換気をする時に自分のいる場所に最も近い、1箇所だけ窓を開けておくということはありませんか?換気を効率よく行うポイントは空気の通り道を作ることです。そのため、1箇所だけだと出ていく空気と入っていく空気が同じ窓で行われてしまい、部屋中の空気の入れ替えには時間がかかってしまいます。換気に重要なのは窓と窓の対角線を意識することです。

窓と窓の対角線を意識することで、空気の通り道ができ、部屋の空気を隅から隅まで効率よく入れ替えることができます。仮に近い窓同士を開けていても、空気の入れ替えはそのまどのそばだけで限定的になり、時間がかかります。

とはいえ、全ての家において対角線に窓を開けることができるかといえば、構造上窓が存在しないことも考えられます。そうした場合には、次の方法で空気の通り道を補うことも大切です。

窓が一つしか無い場合などは扇風機やサーキュレーターを使おう

扇風機やサーキュレーターを使えば、空気の通り道を作ることができます。例えば窓が1つしかない部屋の場合は、窓を開けつつ窓のそばに外に向けて扇風機やサーキュレーターを配置することで、外の空気を取り込みながら部屋の空気を外に出すことができます。

また、窓がまったくない場合においても部屋のドアを開けて、入り口から廊下に向けて扇風機やサーキュレーターを配置することで空気の通り道を作ることができます。扇風機やサーキュレーターを使う分、電気代のコストが掛かりますが、5〜10分程度の運転であればお財布への負担も少なくて済むでしょう。

換気システムを同時に使おう

実は2003年7月以降に建てられた家やマンションの場合、シックハウス対策として建築基準法が改正され、換気設備の設置が義務付けられました。そのため、多くの家庭において換気口や24時間換気システムが備わっていることが今日では多くなりました。

この換気システムを常に回しておくことも空気の入れ替えの役に立ちます。壁についている給気口は開けておくと寒くなることもあって閉じてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、常に開けておくことの方がメリットとしては大きいです。また、台所のレンジフードや換気扇は大きな窓から離れた位置にあるご家庭が多いかと思いますが、回しておくことでより効率的に空気を入れ替えることができます。

窓開けの注意点。カーテンや網戸をうまく活用しよう

窓を開けて換気をする場合、虫が部屋の中に入ってきてしまう場合があります。こうしたことを防ぐためには網戸をして空気を入れ替えたり、カーテンを掛けておくことが効果的です。住んでいる場所によってこのあたりは環境が異なると思いますので、外の状況を確認しながら臨機応変に行いましょう。

部屋の空気の入れ替えの頻度は1時間に5~10分

ここまで紹介してきた換気の方法ですが、入れ替えの頻度は1時間に5〜10分ほどが良いとされています。また、1時間に1回10分間入れ替えるよりも、30分に1回5分の入れ替えの様に、頻度を多くしたほうが二酸化炭素濃度を抑えたり、ウイルスの感染対策予防には有効です。

【まとめ】換気をする際は空気の通り道を意識して、対角線の窓を開けよう。

新型コロナウイルスの感染予防として、換気は身近な作業になりました。換気をすることでウイルスへの感染予防につながるほか、健康に悪影響を及ぼすような二酸化炭素濃度の軽減や、湿度を下げることによるカビの予防、ニオイのリフレッシュなど様々なメリットをもたらすことをお伝えしてきました。

そして実際にエアコンを使わない空気の入れ替えをする場合には以下の要点を抑えておくことがポイントです。

①換気の重要なポイントは空気の通り道を作ること。そのためには対角線の窓を開ける。
②窓が一つしか無い場合などは扇風機やサーキュレーターを使う
③換気口や24時間換気システムを同時に使う
④カーテンや網戸を使って虫の侵入を防ぐ
⑤部屋の空気の入れ替えの頻度は1時間に5~10分程度を意識する。ただし30分に1回、5分間換気をするなど、頻度を多くすることが重要。

部屋の空気を入れ替える際には掃除も大切。面倒な掃除はまとめてプロに頼むのもアリ

換気は様々なメリットをもたらしますが、健康的な住まいを持続するためにはエアコンや網戸、換気扇などの空気に関わる箇所をきれいにしておくことも大切です。これらの掃除を怠ってしまうと、返って室内にホコリを漂わせてしまったり、カビの発生の原因にもなりえます。

特にエアコンは、フィルターの自動掃除運転だけではなく、定期的に内部を分解して掃除をしたり、点検をしないといつの間にか汚れが溜まって効率的な運転ができなくなってしまっていることもあります。こうした掃除や点検は各メーカーのウェブサイトから依頼したり、またはプロのクリーニング業者に直接依頼するのも手段の一つです。

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エアコン以外にもお風呂やトイレ、キッチンの掃除などをセットで依頼することも可能なので、ぜひ一度お試しください。

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