お風呂掃除の洗剤の新常識!?こすらないでシャワーで流すだけできれいになるって本当?

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近年の家庭の掃除のキーワードは「時短」です。働く女性が増えたことにより、掃除にかける時間や負担を減らすニーズは年々高まっています。特に毎日使うお風呂の掃除は浴槽、床、鏡、ドアと掃除をする箇所がたくさんあり、洗剤を販売するメーカーが揃って「こすらずにシャワーで洗い流すだけできれいになる洗剤」を売り始めています。

今回の記事では本当にこすらなくとも水垢や石鹸カスをきれいに掃除できるのかを検証しつつ、より時短を目指すためのお掃除のテクニックを紹介いたします。

【記事作成】おうちにプロ 編集部
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お風呂の汚れの種類を理解して、洗剤を使い分けよう

まず最も大事な点として、こすらない洗剤はすべてのお風呂の汚れに対して効果があるわけではありません。お風呂の汚れは様々な箇所に違った種類の汚れが存在しています。一言で「お風呂の汚れ」と言っても汚れの種類は1つではないのです。

汚れの種類を知らずに、こすらない洗剤なら何でもきれいにできる、と思って使用しても、お風呂が完璧にきれいになるわけではありません。そこでまずはお風呂の汚れができる箇所や種類を理解して、それぞれの汚れに対してどの様な掃除をすることが望ましいのか、解説していきます。

汚れの種類は大きく分けて5種類

お風呂によく現れる汚れは大きく分けて5種類です。汚れがよく発生する箇所も異なるため、1つ1つの汚れを理解していきましょう。

水垢

お風呂の汚れで最も発生する頻度が高いと考えられるのが、水垢です。水垢の見た目は白く水滴のような不規則な形の楕円のようなもので、こするとザラザラ、カリカリとした手触りが特徴的です。

水垢ができる原因は水道水にあります。シャワーで使っている水道水にはミネラルという人体に欠かせない成分が含まれており、カルシウムやマグネシウムも存在しています。お風呂を使った後に至るところに水滴が残ると思いますが、その水分が蒸発してこのミネラルが残り、それが積み重なることで白い形をした水垢となるのです。

石鹸カス

石鹸カスは石鹸を使い終わったものだけを指す言葉ではありません。先ほど紹介した水道水に含まれるミネラル分と皮脂や石鹸に含まれる脂肪酸と呼ばれる成分が結合したものを石鹸カスと呼んでいます。石鹸カスも水垢と同じく白い汚れですが、水垢よりも油分を多く含んでおり、水よりも軽いために水面に浮かびやすい汚れです。水とは馴染みにくい代わりにプラスチックなどとは馴染みやすいため、浴槽や洗面器、椅子などに残りやすい汚れになります。

湯垢、皮脂汚れ

人の体から出る汚れが皮脂汚れです。浴槽にお湯を張って浸かった後に、細かい粒の様な汚れが浮いていることがあると思いますが、それが皮脂汚れになります。中性脂肪や脂肪酸と呼ばれる成分を含んでおり、酸性の汚れです。シャツの襟袖に黄色や黒ずんだ汚れができるのも皮脂汚れが原因ですが、お風呂でもそれは同様で、浴槽の皮脂汚れは放っておくと黒ずんだ汚れになってしまいます。

赤カビ

赤カビはピンク色の汚れで、触るとヌルヌルしていることが特徴です。赤カビの正体は酵母菌と呼ばれる5~10ミクロンのとても小さな菌で、自然界のどこにでも存在しています。赤カビの厄介なところは、他の菌に比べると繁殖スピードがとても早いことです。お風呂場の様な高温多湿で菌の餌となる水分が豊富にある環境下では、掃除をしないとすぐに繁殖してしまいます。

黒カビ

黒カビは黒い汚れで、赤カビと違って洗剤でこすってもなかなか落ちないのが特徴です。黒カビには菌糸と呼ばれる根っこがあり、これが床の細かい隙間などに入り込むことで簡単に落ちない汚れになってしまいます。また、黒カビには胞子と呼ばれる子種を散布する仕組みがあり、人が吸い込むと気管支喘息やアレルギー性の鼻炎を引き起こす恐れがあります。

こすらない洗剤が有効な汚れとは

現在市販されているこすらない洗剤の成分の殆どは弱アルカリ性です。アルカリ性は酸性の汚れを中和する働きがあると言われていますが、実は水垢や石鹸カスの様なアルカリ性の汚れに対してもしっかりと働いてくれます。

こすらない洗剤には「キレート剤(金属封鎖剤)」という成分が洗剤に含まれており、カルシウムを含んだミネラルの汚れを落としやすくする効果が備わっているからです。実際に「こすらない」を宣伝に使っている商品の成分を見てみましょう。

こすらない洗剤

スクラビングバブル バスクリーナー(SCジョンソン)

  • 金属封鎖剤
  • アルカリ性
  • 除菌剤

ウルトラハードクリーナー(リンレイ)

  • 金属封鎖剤
  • 弱アルカリ性
  • 除菌剤

ルックプラス バスタブクレンジング銀イオンプラス(LION)

  • 金属封鎖剤
  • 弱アルカリ性
  • 除菌剤

いずれの商品にもキレート剤が含まれており、また除菌剤も備わっていることでカビ菌を予防する働きがあると考えられます。

つまり、こすらない洗剤は水垢や石鹸カスの汚れはキレート剤で落とすことができ、皮脂汚れは弱アルカリ性の成分で中和でき、カビ菌に対しては除菌剤が働くという、万能なお風呂用洗剤と言えます。ただし、どの様な汚れに対してもきれいに掃除できるかというとそうではありません。

こすらない洗剤で落とせない汚れとは

こすらない洗剤できれいに掃除できない汚れは、掃除を怠ってしまい、写真のような蓄積された汚れです。汚れは掃除をしないと何層にも重なってどんどん頑固になっていきます。こうした汚れはただ洗剤をスプレーしてシャワーで流すだけでは表面の汚れしか落とすことができず、汚れ全体を掃除することは難しいのです。

例えば水垢や石鹸カスの汚れも、汚れの成分は一緒でも、掃除をしない日にちが違うと同じ洗剤を使っていても落とすことが難しくなることがあります。また、黒カビ汚れは菌糸が日が経つごとにどんどん成長して根深くなってしまうため、いくらこれらの洗剤を使っても全く歯が立たないという場合もあります。

こうした場合、水垢や石鹸カスには弱アルカリ性よりも酸性の洗剤を使うことで汚れを中和して落としやすくする働きがあるため、クエン酸の洗剤を使ったり、黒カビ汚れには塩素系漂白剤のカビ取り剤を使うなど、より直接的な効果を得られる洗剤を使って掃除をしましょう。

こすらない洗剤はあくまで汚れが蓄積される前の予防として、細かい頻度で習慣化しながら使うことで効果を最大限に発揮できるのです。

こすらない洗剤の使い方を確認

ここまでお風呂の汚れの種類を理解することでこすらない洗剤がどの様な汚れに効果的なのかをお伝えしてきました。こすらない洗剤は汚れの予防としてはとても有効な洗剤ですので、頻繁に使用することが求められます。目安としては週1回以上が推奨されています。

ここからは実際にどのような手順でこすらない洗剤を使うのか、写真を交えて紹介していきます。

1こすらない洗剤を使用する箇所を水で濡らしておく

まずはこすらない洗剤を使用する箇所を水で濡らしておきます。これは乾いた状態で洗剤をミストすると洗剤液が広がりにくく、かけ漏れが発生する可能性があるためです。濡れているとどんどん下に垂れていくのではないかと思われる方もいると思いますが、垂れていくことは問題ありません。

2こすらない洗剤をミストしていく

こすらない洗剤を掃除をする箇所にミストしていきます。独特のにおいを発するため、使用前に換気扇を回してよく換気されている環境を作りましょう。また、マスクやゴム手袋の着用もオススメです。

洗剤をミストする目安として1プッシュ1mの幅の感覚で使います。浴槽や壁、ドアなどは上から下に向かってかけて徐々に下げながらぐるっとかけていきましょう。

3ミスト後は60秒待ってからシャワーで洗い流す

目安となる待機時間は60秒です。製品によると60秒以上待っても効果は殆ど変わらず、逆に10分以上泡が付いたままになると一部の浴そう、床、壁、塗装面では着色することがあるそうなので、すぐに洗い流しましょう。

この短い手順だけで汚れを予防し、きれいなお風呂を保つことができるのはまさに時短の掃除にぴったりです。

こすらない洗剤のデメリットと解決策

時短でかんたんにきれいに掃除できるこすらない洗剤ですが、デメリットとしては1週間に1回以上、そしてお風呂場全体に使用するため、消費量がとても早いということです。実際に使ってみると週に1回の頻度の場合、2週間でほとんど使い切ってしまいます。現在はお得な詰替え用もありますが、コスト感としてはこする洗剤では普通の洗剤の2倍以上はかかってしまいます。

また、60秒で洗い流せるというメリットがあるものの、習慣化するまでが大変ということも考えられます。お風呂を使い終わった後に洗剤を使って掃除をする、という流れに抵抗がある方も多いのではないでしょうか。

そこで、もっとかんたんに洗剤を使わずに汚れを予防する方法を紹介します。

高温のシャワーで洗い流しカビ菌の繁殖を防ぐ

まずカビ菌の予防について。カビ菌は微生物の汚れになるため実は高温には弱いという特性があります。目安として50度以上の熱に触れることで、殺菌することができます。シャワーを流す時間の目安も50度以上で5秒間という短い時間でできるため、お風呂で体を洗い流した後にそのまま、高温のシャワーを使うと良いでしょう。

【注意】
高温のお湯を使用する際に、肌に触れると火傷する恐れがありますので、注意して使用しましょう。また、給湯器の温度を高温に変更した場合、元の温度に戻すことを忘れないようにしましょう。

毎日のお風呂の使用後にワイパーで水を切る

カビ菌の栄養素となるのはお風呂に残った水分ですが、ワイパーで水を切っておくことでカビだけでなく、水垢や石鹸カスもある程度防ぐことが可能です。水滴を残さないことで水分自体がなくなるため、蒸発してカルシウムが残る、ということを防ぐことができます。

ワイパーは100円ショップなどでかんたんに手に入りますし、洗剤を使うよりも心理的なハードルを下げて予防することが可能です。何より、水を切るだけなので費用が発生しないというのも最大のメリットだと考えられます。

床や浴槽の底についてはワイパーを使って完全に水をきるのは難しいですが、ドアや鏡、浴槽のエプロンや上縁面などの平で水を切りやすい場所については、水垢や石鹸カスが溜まりやすい場所でもあるため、毎日行うことで驚くほどに汚れの予防効果を発揮できます。

浴室乾燥機能などを使って水気をなるべく早く乾かす

高温のシャワーとワイパーでの水切りを終えたら、早めに浴室を乾燥させるために浴室乾燥機能や換気を行いましょう。水分が残ってしまっているとカビの成長スピードを早めてしまうため、なるべく早く乾燥することが大切です。

こうした毎日の小さな心がけが汚れを防止するのに役立ちますのでぜひ心がけてみてください。

【まとめ】こすらない洗剤を使えばお風呂の掃除は時短できれいにできる

お風呂掃除の新常識として注目を集めている、こすらない洗剤について、まずはお風呂の汚れの種類を理解していただき、こすらない洗剤の効果を発揮できるのは、汚れが蓄積していく前の段階であることをお伝えしてきました。また、こすらない洗剤は消費量が多いことがデメリットですが、ワイパーを使って毎日水切りを心がけることで水垢や石鹸カスなどの汚れをある程度予防できます。

改めて、今回の記事のまとめです。

①こすらない洗剤を使うことで水垢、石鹸カス、皮脂汚れ、カビ菌などの汚れの予防につながる
②消費量が多いため、高温のシャワーでカビ菌を殺菌したり、ワイパーで水を切ったり、早めに浴室を乾かすなどの毎日の予防も大切

そもそもお風呂の汚れがひどい場合にはプロに頼むのもアリ

こすらない洗剤は週に1回以上という頻度で使用することでお風呂の汚れを予防する効果が高いということが明らかになったかと思いますが、そもそもお風呂の汚れがすでにひどい場合にはまずその掃除から始めなくてはいけません。

ですが、働く時間があって忙しかったり、育児にかける時間はいくらあっても足りないなど、掃除にかける時間というのはなるべく減らしたいですよね。特にお風呂の汚れは、ひどい場合には汚れに効く様々な洗剤を用意しなくてはならなかったりと、時間・手間・費用がかかってとても大変です。そんなときにはお掃除のプロのクリーニング業者に頼むのも1つの手段です。

「おうちにプロ」ではそんなプロのクリーニング業者を口コミと価格で比較してネットで予約できるサービスです。豊富なクチコミ件数から選ぶことができるので、信頼できる業者を探すのにも苦労しないでしょう。

お風呂場以外にもエアコンやトイレ、キッチンの掃除などをセットで依頼することも可能なので、ぜひ一度お試しください。

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