エアコンがガス漏れする原因と修理方法(自分で直せる?)

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暑い夏の日にエアコンをつけて部屋を涼しくしようと思い、エアコンのスイッチをつけたけれどもぜんぜん部屋が涼しくならない…そんな時はエアコンのガス漏れの疑いがあります。

「エアコンからガスが漏れている」と聞くと不安になるかもしれませんが、エアコンの修理業者やメーカーに相談すれば、ガスが漏れた箇所を修理して冷媒ガスを補充するだけで元通りになることがほとんどです。

おすすめできないのは自分でガスを補充・交換する行為です。エアコンのガス漏れを直す作業には専門知識と道具が必要になります。「インターネットで調べて修理してみよう」と自分で作業してしまうと、ガスがうまく補充できないどころか、エアコンの故障や最悪の場合は爆発事故を引き起こす恐れがあります。

なぜエアコンのガス漏れを自分で直してはいけないのか、この記事ではエアコンのガス漏れの原因から修理方法まで詳しく説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

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エアコンのガス漏れとはどういう症状か

冷房運転の場合、エアコンは室内の暖かい空気を吸い込み、冷媒ガスと呼ばれるガスを使って室外機へ空気の熱を運びます。そして圧縮器によって圧力をかけられることで高温の気体ができます。室外機の熱交換器へと運ばれた冷媒ガスはファンによって冷却され、一度液体となります。夏場にエアコンを運転している時に室外機から熱い空気が流れてくるのはこのためです。

液体となった冷媒ガスは今度は減圧器で減圧され、低温の液体となります。この低温の液体は再び室外機と室内機を繋ぐ配管を通して室内のエアコンに戻り、熱交換器の中で室内の温かい空気を奪って冷たい空気を室内に送るのです。

このように冷媒ガスは室内の空気の熱を室外機に運び、循環させる役割を担っており、冷媒ガスが漏れてしまうとその役割が果たせなくなります。

冷媒ガスが漏れてしまった結果、冷房運転をしようとしても熱交換が行われず、ただの風だけが送風されるということになります。

ちなみに暖房運転の時には室外機で外の熱を奪って冷媒ガスを使って暖かい空気を生み出しているため、やはり冷媒ガスがなければエアコンは機能しなくなります。

ガス漏れになってしまうと、もはやエアコンはただ電気を消耗して風を送るだけの機械になってしまいます。では、エアコンのガス漏れはいつどんな時に起こるのでしょうか?

エアコンのガス漏れが起こる原因

ガス漏れ・ガス不足と聞くと、エアコンを使っているうちに徐々にガスが自然と減っているのではないかと思われるかもしれませんが、通常エアコンの冷媒ガスが自然に減ってしまうことはありません。

なぜなら冷媒ガスは室内機と室外機の間を行ったり来たりしているだけなので、外に排出されるような構造にはなっていないからです。そのため、エアコンから冷媒ガスがなくなるのは次のような設備不良や経年劣化が主な原因と考えられます。

【ガス漏れの原因①】エアコンの取り付け工事に不備があった

エアコンの冷媒ガスを室内機と室外機に循環させるための管を冷媒管と呼びますが、冷媒管の接続部分にはフレア加工と呼ばれる加工が施されています。これは冷媒管の接続部分の片方をラッパ状に加工し、もう片方の何もしていない管を包むようにして繋げるための方法です。

管と管が繋がったところをナットで締め、接続部分をギュッと押しつぶすことによって冷媒ガスが漏れないよう、隙間を埋めます。フレア加工には専用の工具が必要であり、配管をカットするためのチューブカッターやラッパ状の広がりを作るためのフレアツールなどがあります。

よくある取付工事の不備としてはフレア加工した管をナットで締める際にトルクレンチを使わずにモンキーレンチだけで締めることで、ナットを締め過ぎてしまいフレアが潰れて薄くなってしまうケースです。フレアが薄くなることで隙間が生じてしまい、冷媒ガスが少しずつ外に漏れてしまいます。

フレア加工自体が専用の器具がないとできない作業ですが、取り付けの時にもしっかりトルクレンチで規定圧で締め付けることがとても重要です。(これらの工事を素人が見よう見まねで作業することは難しいと考えられます。)

【ガス漏れの原因②】室外機が移動した・倒れてしまった

台風などの強風で室外機が移動または転倒したあとに冷房が効かなくなったということはありませんか?または室外機の配置を変えるために場所を自ら移動させた直後などです。

考えられる原因としては室外機を移動した際に冷媒管が外れてしまったり、冷媒管やつなぎ目に損傷が生じてガス漏れが起こってしまったということです。

少しの移動なら大丈夫と安易に考えず、移動の際にはメーカーや専門業者などに相談し、万が一冷媒管が外れてしまった時は自分で元に戻そうとせずに修理業者を呼んで作業を依頼しましょう。

【ガス漏れの原因③】内部の部品が腐食して壊れた

エアコンの設計上の標準使用年数はおよそ10年と言われており、この年数を超えると様々な部品が劣化してしまいます。エアコンのガスを循環させている冷媒管の耐用年数は一般的に30年と言われています。

耐用年数は長いのにも関わらずガスが漏れる原因として近年問題になっているのがこの冷媒管を腐食させてしまう恐れのある除菌スプレーを使用したトラブルです。

エアコンの内部は結露によってカビが発生しやすい環境となっているため、カビを防ごうと除菌スプレーを散布することで、熱交換器や冷媒管などの金属部分を腐食させてしまう可能性があります。

除菌スプレーを使って腐食が発生する現象の特徴として、時間をかけて徐々に穴が開いていく「アリの巣状腐食」と呼ばれるものがあります。

除菌スプレーを使った直後はカビ菌を殺菌でき、快適なエアコンになったとしても、金属の腐食は時間をかけて進行していき、数年かけてまるで蟻の巣が広がるかのように穴を開けてしまいます。

穴が開いてしまった冷媒管は交換する他ありません。こうしたことからエアコンの各社メーカーにおいても除菌スプレーの使用に注意を呼びかけています。

エアコンのガス漏れが疑われる場合の対処法

エアコンから冷暖房が出なくなってしまった場合にはガス漏れ以外の可能性も含めて対処しましょう。

【対処法①】フィルターの掃除をする

エアコンから冷房や暖房が出なくなった時、まずはエアコンのフィルターの様子を確認しましょう。長くフィルターを掃除していないとホコリが詰まってしまい、運転効率が悪くなってしまいます。フィルター掃除だけであれば自分で掃除することが可能です。

一方で、フィルター以外の内部まで掃除するには分解して洗浄する必要があります。カビなどが繁殖してしまっている場合にはエアコンクリーニングの業者を呼んで掃除を依頼しましょう。

【対処法②】エアコンのプラグを抜き差ししてから電源を入れなおす

フィルターやガス漏れ以外にも動作不良が疑われることがあり、エアコンの電源を入れ直すことで直ることがあります。エアコンの電源がオフになっていることを確認した上で電源プラグを抜き差しし、もう一度電源を入れてみましょう。リモコンにリセットボタンが付いている場合はそちらも押してみましょう。

【対処法③】冷媒ガスの充填は自分でしない(業者へ依頼する)

エアコンのフィルターを掃除してもエアコンの様子が改善しない場合は、冷媒ガスが漏れている可能性があります。特徴として、ガスがなくなっていれば熱交換が行われないことで、冷房でも暖房でも、ただ常温の風が出てくるだけの状態となります。ここで大事なことは自分で何とかしようとしないことです。

まず、本当に冷媒ガスが漏れているか、ガスが足りなくなっているかを素人が判断するのは難しく、漏れている箇所をスプレーで見つけ出したり、センサーを使うなどの道具や知識が必要になります。

次に、冷媒ガスの補充は専門的な知識や経験が必要となり、正しい方法で作業しなければエアコンの故障や最悪の場合爆発の危険もあります。

冷媒ガスの補充は継ぎ足しではなく、元々中に残っているガスを真空引きと呼ばれる作業で空っぽにしてから、エアコンの規定量をグラム単位で正確に入れ直す必要があります。

これは冷媒管の中に冷媒ガス以外の空気や水分が残ってしまうと、冷媒管を痛めてしまったり、冷媒の循環を妨げてエアコンの運転効率を悪くしてしまう恐れがあるためです。また、冷媒ガスを入れ過ぎてしまうと、破裂する恐れもあり大変危険です。

このため、エアコンから冷たい風や暖かい風が出なくなっても自分で冷媒ガスの補充をするのではなく、経験豊富なプロの業者にガス漏れの修理を依頼するようにしましょう。

エアコンのガス漏れの修理方法

実際にガス漏れの疑いが強まった時はどのように修理をすればいいかというと、賃貸のような借りている部屋に入居時からエアコンが設置されていた場合と持ち家のように自分でエアコンを購入して設置を行った場合とで方法が異なります。

賃貸の場合のエアコンのガス漏れ修理

賃貸の場合、エアコンが最初から部屋に備え付けられているものになると、自分で勝手に取り外しや修理を行ってはいけない賃貸契約になっていることがほとんどです。

賃貸の場合、エアコンの修理は大家さんが費用を負担してくれる場合が多いため、まずは賃貸を管理している管理会社に問い合わせを行いましょう。一般的には、管理会社からエアコンの修理依頼の手続きをしてくれるはずです。

持ち家の場合のエアコンのガス漏れ修理

持ち家の場合、自分でエアコンを購入して設置することになると思いますが、エアコンのメーカーやプロの業者に直接修理依頼をする必要があります。

ここでメーカー以外のプロの修理業者を使う際におすすめなのはエアコンのクリーニングとガスの充填を一緒にできる業者を探すことです。

万が一ガス漏れでない他の原因がある場合、エアコンのフィルターや内部分解洗浄などでホコリや汚れを落とすことで解決することがあります。

メーカーへのガス漏れの修理依頼でガス漏れが原因でなかった場合、修理専門の業者ではエアコンクリーニングの対応ができない可能性があります。そのため、せっかく時間を割いて修理を行うのであれば両方同時に対応できる業者がおすすめです。

なお、修理を依頼する際には

  • エアコンの型番
  • 室外機に貼ってあるステッカーで冷媒ガスの種類を確認(冷媒R410Aや冷媒R32など)

これらの情報を事前に伝えると、スムーズに手続きができるでしょう。

エアコンのガス漏れの修理費用

エアコンのガス漏れの修理費用の相場は1.5万円から5万円とかなり幅があります。これはガスが漏れている原因を調べ、原因によっては冷媒管のフレア加工などを行う必要があるため、実際に現地で確認しないとわからないためです。

修理費用が当初考えていた金額よりも高騰する可能性があるため、もしエアコンの標準使用年数である10年を超えている場合は新しいエアコンに買い換えるのも一つの方法です。

10年前のエアコンと今のエアコンとでは機能や省エネ性能に差があり、電気代を抑えてより快適に使える場合もあります。

【まとめ】エアコンのガス漏れが疑われる場合は自分で修理しようとせず、プロの業者に依頼しよう。

エアコンから暖房や冷房が出なくなり、ただの常温だけが出てくるようになった時はエアコンのガス漏れの可能性が高いことや、その対処方法・修理の依頼方法についてお伝えしてきました。

改めて、エアコンのガス漏れについてのまとめです。

  • ①エアコンから冷暖房の空気が出てこず、室外機からは常温の風のみが出ている場合は冷媒ガスが漏れている、不足している可能性がある。
  • ②エアコンの冷媒ガスは通常自然に減ることはなく、室外機の移動や転倒、または取り付け時の整備不良などによって冷媒ガスが漏れることがある。
  • ③冷媒ガスの充填は専門の道具や知識を備えたプロの業者に依頼する。素人が作業するとエアコンの不具合、最悪の場合は爆発の危険性があるので絶対にしないこと。
  • ④エアコンのガス漏れの修理費用の相場は1.5万円〜5万円程となっており、10年以上使用しているエアコンであれば標準使用年数を超えているため、買い換えるのも手。

エアコンをつけても効きが悪いときは、プロのエアコンクリーニングも検討しよう

冷媒ガスが漏れることは室外機の移動や転倒、設置時の施工不良などを除けば通常は起こることではありません。しかしながら、エアコンのフィルターについては普通に使用していてもホコリが溜まってしまいます。

エアコンをつけても部屋の温度が変わりにくい時の原因は冷媒ガスの漏れだけではなく、こうしたエアフィルターについたホコリが原因である可能性もあります。そのため、定期的なエアコンクリーニングがエアコンには必要不可欠なのです。

エアコンクリーニングの専門業者はたくさん存在しており、どこに頼めばいいか最初は迷ってしまうと思いますが、「おうちにプロ」はプロのエアコンクリーニング業者を口コミと価格で比較してネットで予約できるサービスです。豊富なクチコミ件数から選ぶことができるので、信頼できる業者を探すのにも苦労しないでしょう。

エアコン以外にもお風呂やトイレ、キッチンの掃除などをセットで依頼することも可能なので、ぜひ一度お試しください。

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